フランチャイズの「テリトリー権」とは、フランチャイズ本部によって加盟店に対して営業地域を特定する権利を指します。前もってエリアを定めることにより、集客や売り上げの安定性を保ちやすくなるというメリットがあります。
この「テリトリー権」と似た言葉として、「テリトリー制」「エリア制」があります。「テリトリー制」とは、特定のエリアを保護する制度を示す言葉です。「エリア制」はテリトリー制とほぼ同じ意味で使用されていますが、より広い「エリア分け」を指す際に使用されることもあります。
もしテリトリー制がない場合には、すぐ近くに同じチェーンの店舗が出店可能になります。この状況になると、互いに顧客を奪い合う「カニバリゼーション(共食い)」という状況が発生し、それぞれの店舗の売上低下につながる可能性が考えられます。さらに、過当競争によるサービス品質の低下を招いてしまうことから、最終的にブランドイメージの低下につながるリスクもあります。
契約内で定められているエリア内にて、加盟店が独占的な営業権を持つ形態を「クローズド・テリトリー」と呼びます。この契約が結ばれている場合には、他の加盟店を募集することはもちろん、本部がそのエリアに直営店を出店することもできません。この点から、加盟店では顧客の奪い合いを心配せず事業に集中できるというメリットがあります。
クローズド・テリトリーは、地域に密着したサービス提供が重要となる業種などで採用されることが一般的となっています。
「オープン・テリトリー」とは、加盟店の基本的な商圏は保護されている中で、特定の条件下では本部が新しく店舗を出店する余地が残されている形態を指します。特定の条件下の例として「本部による直営店の出店は例外」といったものがあります。
こちらの形態では、加盟店の商圏について最低限を守りながらも、市場の変化に合わせて新たな出店を行えます。買取専門店や整体院、レストランやカフェ、居酒屋などで多く見られる形態となっています。
「ロケーション制」とは、エリアの保証がない形態です。この形態の場合には、本部が出店戦略において完全な裁量をもっていることから、もしすぐそばに同じチェーンの店舗が出店したとしても、加盟店は契約上の権利の主張はできないことになります。
この形態は、店舗の立地の良さが集客に直結する業種や、街のさまざまなところに出店することによって存在感を高め、顧客の利便性に繋げるという戦略をとる業種にて採用されています。具体的には、コンビニエンスストアなどでこの形態が採用されています。
車買取フランチャイズの場合、調査した限りですと2026年現在、テリトリー権を導入している本部は見当たりませんでした。
テリトリー権の大きなメリットとして「収益の予測が立てやすい」点が挙げられます。近隣に同一ブランドの競合店が出店しない事から、顧客の奪い合いや価格競争を防ぐことが可能となります。テリトリー権を採用している場合には、自店舗の周辺エリアで行った広告宣伝に関して投資回収もしやすく、資金計画や人員計画を含めた長期的な事業計画を立てやすいといった面があります。
テリトリー権の大きなデメリットとしては、事業の自由度が制限される点が挙げられます。例えば、自身が出店を希望しているエリアがあったとしても、すでに他の加盟店のテリトリーとなっている場合には出店できませんし、1店目の運営が順調で2店目や3店目の出店を検討している場合でも、テリトリーに空きがなければ新たに出店することができなくなります。
また、テリトリー外の顧客に対する積極的な営業活動が制限されるといったケースもあります。
フランチャイズ契約におけるテリトリー権については、ブランドの統一性を保ち、効率的に事業を運営するための合理的な仕組みと認められているため、「原則として独占禁止法に違反するものではない」との解釈が行われています。
この事から、テリトリー権を設けているだけでは、独占禁止法上で問題となることは通常はありません。ただし、運用方法によっては独占禁止法で禁じられている「不当な取引制限」や「拘束条件付取引」に該当する、と判断されるケースもある点には注意が必要です。
加盟店としての契約を締結する前に、テリトリー権について確認を行っておくことが大切です。テリトリー権の保護レベルは、契約によって大きく異なる事から、もし「テリトリー権あり」の場合だったとしても、そのエリアの範囲が具体的にどのように定められているのかと、それが「独占権保証(クローズド・テリトリー)」か「出店数制限(オープン・テリトリー)」なのかをはっきりさせておくという点がポイントとなります。
テリトリー権がいつまで保護されるのかという「保護期間」について確認しておくことも大切です。また、契約を更新する際の条件に加えて、権利を侵害された場合の対応と罰則規定も確認します。テリトリー権侵害が発生した場合に、どのような対応が取られるのかをはっきりさせておき、トラブルが発生した際に加盟店が泣き寝入りするという状況を防げるようにしておいてください。
中小小売商業振興法にもとづく法定開示書面とは、フランチャイズ本部が加盟希望者に対し、契約を締結する前の交付・説明を義務付けられている書類です。テリトリー権の有無についても必ず明記することになっているため、契約締結前にその内容を十分にチェックしておくことが大切です。
こちらの記事では、フランチャイズにおけるテリトリー権について解説を行ってきました。フランチャイズ加盟を行う場合には、テリトリー権の目的やメリット・デメリットなどについて十分に知っておくことが大切です。また、加盟契約前のチェックポイントもまとめていますので、加盟を検討している方はぜひ参考にしてください。
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※1 参照元:ハッピーカーズ|フランチャイズWEBリポート( https://web-repo.jp/fc/61911/special/1412 )
※2 参照元:ハッピーカーズ開業プラン|アントレ(https://entrenet.jp/dplan/0001966/)